2012/01/26

最近読んだ本(8) - 「夢を与える」「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」「アルケミスト」



最近読んだ本のレビューです。






【夢を与える】(Click New Tab)
綿谷りさ(Click New Tab)

ちょっと久しぶりの文学系。
読書メーターの方の感想でも書いたんですが、こういう本・・・というか、綿谷さんの本がっていうのか、どっちとも言いづらいけど、スムーズに展開したって思った瞬間、きっと後味の良くない展開がどこかで待ってるなって思って、ページをめくるのを少し躊躇ったりします。

めでたしめでたしじゃ、ストーリーとしてダメなんだろうか。

主人公は、幼い頃から子役としてカタログモデル、CMモデルとして芸能界に入ることになった夕子。そしてその両親。

ハリウッドなら最後にひとつ成功して、または他の道に行くことになったけど、充実してます的なストーリーになるでしょうが、もちろんそういう方向にはいってくれない。

奥田英朗さんの「無理」もそうだったけど(あれほどじゃないか・・)救われない話。
あまりに堅苦しくはなく、読みやすい文章なので、映像として想像がしやすい分、余計辛くなってくる展開に焦れます。最後まで、どこに夢があったのかは分からないまま。
そういう悲劇を深く考える事が好きな人もいるかもだけど、物語を楽しみたい人には向かないと感じます。



【もうすぐ絶滅するという
      紙の書物について】(Click New Tab)
ウンベルト・エーコ(Click New Tab)
ジャン・クロード・カリエール(Click New Tab)

作者二人について、全く知らない状態で読みました。有名なのかな?

とりあえず、この本で目を引くのは、なかなかお目に書かれない少し手の入った装丁。

小口は青く染め、遊び紙は黒の上質っぽい紙。背が糊付けなのが少し残念に思うくらい、本棚に並べたら映えるだろうなって綺麗な装丁です。

中身はと言うと、題名からは、電子書籍問題などから起こる、紙の書物のこれからについて・・・かと思いきや、ほとんど全てそんな話題は出てきません・w・

まず、二人共が紙の書物という形は、本として完璧に出来上がった形だから、それ以上進化しようがないという見解を持っていて、電子書籍は記録媒体として寿命が短すぎるという考えを持っている、・・・と、それで電子書籍については話題終了。

後は、ひたすら好きな本への愛を語ります。

書物が好きだからこその紙の書物のこれからを語ってくれるかと思っていたから、二人して、それについてはとっくに話題は終わってると言わんばかりの流し方に苦笑しますが、内容としては読みやすい対談本で気負いなく読むことが出来ます。

原題は「N'pspérez pas vous débarrasser des livres」らしいです。
「本から離れようったってそうはいかない」あたりに直訳するとなるそうですが、だいぶ内容に近いですね。邦題だと、すこし違和感があります。

綺麗な装丁に触れたい。とりあえず本が好きって人は一読していいかも。
ちなみに、図書館でも普通に並んでました。こういう本はあまり貸出予約で埋まらなくて借りやすいのかな?と。


【アルケミスト
  錬金術師ニコラ・フラメル】(Click New Tab)
マイケル・スコット(Click New Tab)

こういうのも読みます。
なんだかんだ読みやすいので読んでますが、突っ込みどころは満載。

歴史上の登場人物、信憑性の薄い噂話レベルの背景のある人物を、名前だけ出して深く説明しないから、これを子供が読んで、人物名だけ覚えていったら、ややこしそうだなぁって思います。

内容としては、奪われたら世界の危機、というアブラハムの書を持ったまま、なぜか普通に古本屋を営んでるニコラが双子の兄弟を巻き込んで冒険させるといった話。

最近のファンタジー物としては、現代の中のファンタジー的な描写を期待しますが、そういった部分はひたすら弱いと感じます。基本的に異界の中に居続けたりはしないのに、現代の中に存在する、的な書き方も見受けられないので、いったいどこで戦ってるんだという感じです。

そして、そこら中に不死者や現代まで実は生きていた伝説的人物がやたら登場しますが、一人一人の歴史的行動については全く詳しく描かれないので、Wikiで名前だけ拾いながら書いたんじゃないか?って思うくらい人物描写は薄い。特にその登場人物が、その人でなくてもいいよね?っていうものばかりです。

4巻まで出ていて、3巻まで読んだので、なんだかんだで楽しんでるか・・・って気もしますが、ビリー・ザ・キッドが出てきた時のあの残念さと言ったらw

登場人物は、ただの記号だって割り切って読むようにすると、単純なファンタジーものとして読めると思います・w・

中でも、神様の扱い方はものすごく軽いです。





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